娘の美大受験記#12~合格発表~

娘の美大受験

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娘の美大受験記#11~崖っぷち美大入試面接~
いよいよ美大の面接試験が始まる。ここでも肝心な、どうやって作品を見せるかという部分がすっかり欠落しており直前までハラハラ。でもた多摩美の教授は優しかったという。

2022年11月19日㈯ 小論文・実技試験
2022年11月20日㈰ 面接

全ての入試過程が終わった。
後は合格発表のみ。

合格発表は
2022年11月24日㈭ 13時 WEB発表だった。

入試が終わってから合格発表までほんの数日だが、こんなに落ち着かない日々はないというぐらい、何をしていても気になって落ち着かない。
今更ジタバタしようもないんだけど。

肝心の娘と言えば、11月23日の祝日は友達と遊びに行くと言って家を出たきり、夜9時を回っても何の連絡もなく心配になる。
思えば数日私以上に様子がおかしかった
心配になり電話するも出ない。
結局何度か時間を置いて電話すると出たので車で旦那と迎えに行くことに。

娘も落ち着かず家にいれないんだと思うから、余計なことは言わないようにと旦那に釘を刺さていたので、何もないふりをする。

明日は合格発表。
怖くて見れないと言うので、私が見て上げようか?と聞くと嫌だと言う。
学校で見るのも怖いというので、休めば?と言うも、一人で見るのも怖いと言う。

どっちやねん!!

と思いつつ、結局翌日は学校へ行った。

2022年11月24日㈮ 合格発表

午前中も私は生きた心地がせず、心ここにあらずだった。
昼休みも本当に落ち着かない。
そしてとうとう合格発表の13時になった。

期待したけれど13時を過ぎても娘からは連絡がない
ダメだったのかもしれない、そんな不安でいっぱいになる
こんなこともあろうかと、前日、娘の合格発表をこっそり見ようかと受験番号をこっそり娘の部屋で探すもどこからも出てこなかった。
持ち歩いているのかもしれない。
自分で見るのは怖いけど、親が先に見るものも嫌だと言っていたので。
受験番号がわからないので私はなすすべ無しで、娘からの連絡を待つしかない。

そして13時10分

スマホが鳴った。

娘からの電話だ。
走って電話出来るところに移動して通話ボタンを押す。

 

「お母さん、合格した。合格してた!」

人前で泣かない子なのに、声を震わせて泣きながら電話しているのがわかる。
それにつられて私も泣けてくる

「良かった!おめでとう!本当に良かったなぁ!(泣)
お父さんに連絡した?
じゃあ連絡しとくね!」

今思い出しても涙が出る。
それくらい嬉しかった。
よく、自分のことより嬉しいと言うけれど、それは本当だと思う。
現に私は自分の入試の合格発表のことはさっぱり覚えていないからだ。

ああ、合格した

合格したんだー!!!

ゆっくりと嬉しさがこみ上げてくる。

急いで旦那に電話する。

合格した!タマビ合格してた!〇〇から電話あった!!

旦那は、合格したんや。。。そうか、合格したんや。良かった。

そう、なぜか本当に落ち着いて呟いていた。
旦那は現役時代、美大と芸大を全落ちして浪人したのだ。
受かるとは思っていなかったのかもしれない。

そして、今回東京の受験まで同行し、落ち込む娘を励ましてくれ、全力でサポートしてくれた。
彼の功績は大きいと思う。

でも後でそう感謝の意味も込めて言ったつもりが言われたのだ。

受かったのは、俺の力じゃない。〇〇が頑張ったから受かったんやから。それを忘れたらあかんで。

そうだね、本当にいい加減な性格で全部ギリギリで心配することばかりだったけど、彼女なりに本気で頑張ってたし、一生懸命だった。

もう何も言うまい。

おめでとう!

よく頑張った!

それだけだ。

その日はケーキを買って帰った

お祝いのケーキたち

「プレートをお付け出来ますよ」と言われたので

「〇〇 タマビ合格おめでとう」
と入れてもらう。

帰って料理の用意をしていたら、チャイムが鳴った。
娘の友人とそのお母さんでもあり私の保育園時代からのママ友だ。
娘から合格を聞いてなんと、お花と私にはワインを持って来てくれた。

「おめでとう!今日は浴びるほど飲んでな!」と。(笑)

プレゼントのお花とワイン

こんなに嬉しい日はないというくらい嬉しかった
帰って娘と色々話していると、

はじめは合格発表が怖くて見れなかったらしい。

高校の親友に話したら、

「合格してるかどうかで、うちの今後の過ごし方も変わるねんから、一緒に見よう!気になってしゃーない!」と言われたそう。

その子は美術科だけど、全く分野の違う専門学校にもう進学が決まっていた。
娘が合格してたら、もうこれからいっぱい遊べるけど、そうじゃなかったら2月の入試が終わるまで遊べないということだ。

そして一緒に合格発表を見たらしい。

娘は夕食の時に何度も

「本当に合格してんなぁ。すごいなぁ。信じられへんわ。もう勉強しやんでいいねんなぁ。」と言っていた。

一般入試対策として、あれだけしていた手のデッサンも、結局一度も描かずに終わった。

学校の先生も合格したんや、と驚きを隠せないようだった。

そして、画塾の先生に連絡入れた?と聞くとまだと言う。
さもありなん。
もう夜やで。心配してると思うからすぐに連絡しいや、と言う。
こういうところが、ふんわりしている所以だ。
全く世話が焼けるのである。

本当に行きたい学校にみんなが入れるわけじゃない。
努力して頑張っても入れないこともいっぱいある世の中で、ラッキーなことに、嬉しいことに娘は合格したのだ。
今日一日は思いっきり自惚れてもいいんじゃないだろうか。
個性的で昔から変わっていて、勉強が嫌いで、だけど絵だけは得意だった娘。
幼い日々から今までのことが思い出される。
すごいなぁ、良く頑張ったなぁ

関西のカビの子!!

そして

私がもうひとつ嬉しかったのは、旦那じゃなくて私に電話してきてくれたことだった。
絵に関しては旦那に相談したり全面的に信頼していたし、受験も東京まで同行していたし、私とは骨折事件もあったので、ちょっと距離があったのだ。

でも私に初めに電話してきてくれた。
それが本当に嬉しかったのだ。

旦那にそれを言うと、やっぱりそういうのはお母さんなんちゃう?と。
ちっぽけなことかもしれないけど、本当に今まで色々あった分、嬉しかったのだ。

そして、前回のブログには書かなかったけれど、娘の入試の一日目、実は次女の小学校の金管バンドのコンクールの全国大会が大阪城ホールで行われていたのだ。
私はそちらに詰めていた。
なんと結果は10年ぶりの金賞という快挙で、受験もこの流れに乗って欲しい、そう強く願っていたのだ。
こんな大きな行事が同じ日に重なるなんて、11月は本当に気の休まらない日々だった。

 

話しを戻そう。

合格したのは「多摩美術大学テキスタイル専攻」
タマビで一番忙しいと言われている専攻だ。

合格で天にも昇る気持ち、そんな夢のような喜びが、たった一日で終わるような出来事が翌日に待っていようとは、この時は誰も知る由もなかったのだ。